こころの相談室VOL.11

富山県で臨床心理士(こころの専門家)をしている深澤です。
私自身が思春期のとき、学校のこと、人間関係のこと、恋愛のこと、家族のことなど、
悩んだ経験が大人になってから役に立っていることがたくさんあります。
悩むことは人間を成長させる力を持っています。
臨床心理士として「こころ」の視点から、皆さんの悩みごとについて、回答しようと思います。

友達の言葉が少し乱暴

Q 長く付き合っている友人がいます。
長く付き合っている安心感なのか、僕への扱いが雑になってきました。
ひと言ひと言が以前より少し乱暴なのです。
あまりこちらからは何かを言いたくないのですが、
何か嫌なことを言われても気にしないようにするのはどうしたらいいですか。

あなたは今後どんな関係を望みますか。考えてみましょう

安心感にしても、安心感ではないにしても、自分への扱いが雑になり、
自分への言葉が乱暴になってきたということは、大きな悩みごとだろうと思いました。
私がまず、知りたくなったことは「こちらからは何かを言いたくない」ということです。
なぜ、あなたは「こちらから何か言いたくない」と思うのでしょうか。
「友人関係が無くなってしまいそうだからでしょうか?」
「自分の気持ちを言ったら、相手が嫌な気持ちになりそうだからでしょうか?」
「もっと乱暴に扱われそうな感じがするからでしょうか?」
まず、このあたりについて、自分の考えを整理されるとアクションの仕方も変わると思います。
そして、あなたは今後、友達とどのような関係を望むのかということも大切です。
それだけ、嫌な気持ちになっても友人関係を続けていきたいと思うのか、そうではないのか、それ以外の関係を考えたいのかというところです。
「気にしないようにする」とありましたが、気にしないようにすることは自分の本当の気持ちに「ふた」をすることになります。
短期間ならそれで乗り切れるかもしれませんが、長期間に渡るとあなたの身体やこころに悪影響が出るのではないかと心配をしています。
私たちの日常生活について、冷静に考えてみると分かりますが、何もアクションを起こさずに相手の考えや行動を変えることは非常に難しいように思います。人は相手に指摘をされないと気が付かないことが多いからです。

私なりに考えた提案を3つ挙げます。
①相手と今後も友人関係を続けていきたいのだったら、あなたが嫌だと思っている気持ちは伝える
⇒多くの場合、相手から指摘をされなと気が付かないからです。
どのように言えば相手に伝わりやすいかについてです。
コミュニケーションの方法に「サンドウィッチ法」と言われるものがあります。
相手にとって「プラスのこと」を「マイナスのこと」に挟むという方法です。
例えば、「君とゲームしていたら楽しいなぁ(プラスのこと)。
でも、最近、強く言われ過ぎると傷つくんだよね(マイナスのこと)。
また、一緒に楽しいゲームを探そうよ(プラスのこと)」という感じです。
②その友達との友人関係はひとまず置いておき、他の友人関係を作る工夫をしてみる。
⇒あなたの周囲にはたくさんの人がいます。他にも話の合う人がいるかもしれませんし、同じ趣味の人がいるかもしれません。
もっと、仲良くできる友達に出会えるかもしれません。
③その他
⇒これ以外にもあなたの悩みごとに対する回答はたくさんあると思います。
その他の方法について、クラスメイトや、部活動の友人、家族、先生などに相談をしてみることも一つの方法です。
そのなかに、あなたの考えと近い回答があるかもしれません。

過去の相談はこちら

深澤 大地

富山県こどもこころの相談室 代表(臨床心理士)

長野県生まれ。関東の公的機関で教育相談員やスクールカウンセラーとして勤務。平成21年に富山県総合教育センター客員研究主事として招聘。平成29年に子ども専門の心理相談室「富山県こどもこころの相談室」を開設。
現在は、子どもに限定せずに未就学児~成人のカウンセリングを行っている。また、講演会、新聞の連載エッセイの執筆、雑誌への記事の掲載、メディアへの出演など、臨床心理士として県内外で活躍中。