こころの相談室VOL.2
Q 友達に千円貸しました。すぐ返すと言われて、ひと月近くたちます。
金額がすごい大きいわけではないのですが、モヤモヤするものがあります。
でも、催促しにくいです。どうしたらいいでしょうか。
私はストレス解消方法として、時々「少しだけ高級なアイスクリーム」を食べます。
一つ300円程度の金額になるので、千円あれば3個買えます。
冷凍庫に入れておけば、3日間はなんとか機嫌良く過ごせますね。
そのため、私にとっても千円は大きな金額です。
一般的な高校生が千円を大きな金額と感じる人も多いでしょう。
また、金額も重要ですが、どうしたら、友達との関係を壊さずに
自分の気持ちを伝えたらよいのかとても悩むところです。
このように私たちは日常生活の中で本当は相手に言いたいけれども、
気を使い過ぎて言えないまま、モヤモヤしてしまい長期間に渡ってストレスを
ため込んでしまうことがあります。
心理学の考え方の一つに「自分も相手も大切にする自己表現(アサーション)」
というものがあります。
これは自己表現を三つに分類します。
①モヤモヤする表現
⇒言いたいことを言えずにモヤモヤする表現。
②イライラする表現
⇒その時の怒りの感情を一方的に言い放ってしまうイライラする表現。
③さわやかな表現
⇒自分の正直な気持ちを伝え、相手の気持ちにも共感をし、
相手にとってほしい行動を提案する表現。
ご質問者のお悩みをこの三つの表現に当てはめてみます。
これは、①の言いたいことが言えない状態に当てはまるでしょうか。
さわやかな自己表現をするためには、さわやかな考え方が大切です。
具体的に考えてみましょう。
①モヤモヤする表現で考えた場合
⇒「お金を返して欲しいけど・・・はっきり言えない自分も悪いから・・・」
と考えてしまうと、お金を返して欲しいことを言いにくくなります。
②イライラする表現で考えた場合
⇒「お金を貸してやったのに、何で返さないんだ!最低な奴だ!」と考えてしまうと、
一方的に強い口調で相手を責めてしまい、その後の人間関係に悪影響を及ぼします。
③さわやかな表現で考えた場合
⇒「借りたことを忘れているのかもしれない。」
「返すタイミングを見失っているのかもしれない」と考えると、
お金を返して欲しい気持ちを相手に伝えやすくなります。
具体的な話し言葉にすると
「千円を貸してから1カ月が経つよね。大事な千円だから返して欲しいんだ。
明日、返してくれるかな?」と言う方法もあります。
相手に自分の気持ちをどのように伝えようかということは、
あなたの表現方法の特徴を知るきっかけになります。
自分の自己表現について知ることで、これからの人間関係にも対応しやすくなります。
例えば、進学したり、就職したりしたときに、
相手に自分の気持ちを適切に言えば人間関係も深まり、生活も充実してくるかもしれません。
千円の貸し借りに向かい合うことで、あなたがあなた自身について理解を深める機会にしてください。
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深澤 大地
富山県こどもこころの相談室 代表(臨床心理士)
長野県生まれ。関東の公的機関で教育相談員やスクールカウンセラーとして勤務。平成21年に富山県総合教育センター客員研究主事として招聘。平成29年に子ども専門の心理相談室「富山県こどもこころの相談室」を開設。
現在は、子どもに限定せずに未就学児~成人のカウンセリングを行っている。また、講演会、新聞の連載エッセイの執筆、雑誌への記事の掲載、メディアへの出演など、臨床心理士として県内外で活躍中。