こころの相談室VOL.6
富山県で臨床心理士(こころの専門家)をしている深澤です。
futureの質問コーナーの回答をしています。
私自身が思春期のとき、学校のこと、人間関係のこと、恋愛のこと、家族のことなど、
悩んだ経験が大人になってから役に立っていることがたくさんあります。
悩むことは人間を成長させる力を持っています。
臨床心理士として「こころ」の視点から、皆さんの悩みごとについて、回答しようと思います。
友達が嫌なことをしてくるんだけど、どうしたらいいですか
Q 部活が同じで、家の方向が同じだから、よく行き帰りを一緒にする友人がいます。
友人とはいうけど、たいして仲がいいわけでもないです。
理由は僕の体を小突いたり、ちょっとバカにしたようなことを言ってくるからです。
事を荒立てたくないのだけど、我慢すべきですか。冷たい態度を取ればなおりますか。
自分の気持ちをハッキリさせて対応を
とても、難しく、そして悩ましい問題だと思いました。
私も、思春期の頃にこのような悩みにぶつかり、不快な気持ちを我慢したり、
相手を攻撃する言葉を言ったりしたことを思い出しました。
「事を荒立てたくない」ということが、どういうことなのかということが私は大事な問いである感じがします。
例えば、「小突いたり、バカにされたりすること」がさらにエスカレートしそうなのか、
友人と気まずくなることを心配しているのか等です。
この辺りを、ご自分で考えてみると気持ちや考えが整理されます。
「我慢するべきか」「冷たい態度をするべきか」ということについて、
あなたが、その友人と「今後どのように接していきたいのか」ということを決めることが大切です。
その友人と一緒にいたい気持ちがあるのか、それとも、もうできるだけかかわりたくないのかということです。
そこが自分の中である程度ハッキリしないと、このような関係性が今後も継続される可能性がありますし、
このことがさらにエスカレートしていく可能性もあると思います。
我慢するべきか、冷たくするべきか、ということですが、それ以外の方法を私は提案したいと思います。
なぜなれば、対応方法はたくさんあった方が、解決する可能性が高くなるからです。
① あなたが「小突かれたり、バカにされたりすること」について
自分が嫌だと思っている気持ちをハッキリと伝える。
相手は、あなたが嫌だと思っていることが分かっていないのかもしれません。
例えば「オレは、小突かれたり、バカにされたりするのがすごく嫌だと思っているんだけど、止めてほしい。」です。
それによって、相手があなたの気持ちや、自分がやっていることに気が付き、関係性が変わることはよくあります。
② できるだけ、その人と一緒にいる時間を避ける。
部活が同じでも、変える方向が同じでも色々な方法で別々に帰る方法も考えられるはずです。
例えば、「部活中、相手が近づいてきたら、自分が遠ざかる」とか
「今週、家の用事があるから、先に帰るわ」と言って走って帰る。
③ 信頼できる人に相談をすることこと。
自分の気持ちを話すことで、考えが整理されたり、気持ちがホッとしたりすることがあります。
そのとき、あなたが信頼している人に話をするのがポイントです。
〇相談をするときに信頼できる人とは
・あなたの話を最後まで聴いてくれる人
・あなたの話について一方的に否定しない人
・あなたのことを心配してくれることが伝わってくる人
・あなたの話したことについて秘密を守ってくれる人
などです。
相談できる人の中には次のような人たちがいます。
家族、他の友人、先輩、習い事の先生、学校の先生、スクールカウンセラー等です。
また知っている人に相談をしたくない場合は、国や富山県がやっている無料の電話相談もあります。
スマホで一度調べておいてみることで、いざという時に役立つと思います。
過去の相談はこちら
深澤 大地
富山県こどもこころの相談室 代表(臨床心理士)
長野県生まれ。関東の公的機関で教育相談員やスクールカウンセラーとして勤務。平成21年に富山県総合教育センター客員研究主事として招聘。平成29年に子ども専門の心理相談室「富山県こどもこころの相談室」を開設。
現在は、子どもに限定せずに未就学児~成人のカウンセリングを行っている。また、講演会、新聞の連載エッセイの執筆、雑誌への記事の掲載、メディアへの出演など、臨床心理士として県内外で活躍中。