こころの相談室VOL.5
富山県で臨床心理士(こころの専門家)をしている深澤です。
futureの質問コーナーの回答をしています。
私自身が思春期のとき、学校のこと、人間関係のこと、恋愛のこと、家族のことなど、
悩んだ経験が大人になってから役に立っていることがたくさんあります。
悩むことは人間を成長させる力を持っています。
臨床心理士として「こころ」の視点から、皆さんの悩みごとについて、回答しようと思います。
明るいキャラ演じるのにつかれてしまう
Q 自分は明るいキャラとして振る舞っています。
でも、ときどきこのキャラにつかれてしまうことがあります。
友達と一緒にいるときには明るいキャラクターであることであることは必要だと思います。
このキャラをかえることなく、自分にも無理なく、学校生活を送るにはどうしたらいいですか。
まずは自分のキャラを知ろう
私も学生の頃は無理をしてはしゃいだり、遊びに行ったりして人に合わせていました。
このご質問をみて、過去の自分のことを少し回想していました。
さて、心理学的な表現をすると、私たちは、場面や状況や相手によって自分の仮面(ペルソナといいます)を
付け替えながら日常生活を送っています。
親に見せる顔、きょうだいに見せる顔、先生に見せる顔、先輩に見せる顔、後輩に見せる顔、恋人に見せる顔など、
私たちは、無意識的に相手によって違う自分を演じているのです。
このように、相手によって仮面を付け替えて自分を演じることは、基本的には大切な能力のひとつです
(それが過剰すぎたり、上手く付け替えることができなかったりすると、こころの病気になることもあります)。
例えば、部活の怖い先輩や、学校の先生に対して、親に対するような言葉遣いや態度をとったらどうなるでしょうか。
部活の怖い先輩や、学校の先生から強く叱られるかもしれません。
恋人に対して、仲が悪い異性のきょうだいに対するような言葉遣いや態度をとったらどうなるでしょうか。
失恋するかもしれません。
この質問への私の回答は
① 本当の自分はどんなキャラなのかを整理してみること
⇒「本当の自分のキャラ」とはいったい、どういうものなのか、これを知ることがこの問題を解決するスタートラインです。
② 自分を労い、気分転換をしてみる
⇒前述しましたが、無理をしてキャラを演じることはこころの健康の視点で見るとよくありません。
それでも、キャラを演じることが現状の適応に繋がると思った場合は、無理をしている自分を労い、
気持ちが少しでもスッキリするようなことを日常生活の中でしてみることも方法の一つです。
③ どういう特徴の友達にはどのようなキャラを演じているのかを整理してみること
⇒Aさんといるときはどのようなキャラを演じていて、Bさんといるときはどんなキャラを演じているのでしょうか。
自分のキャラ変更の特徴が見えてくるかもしれません。
この①②については、すべての中学校、高校にいるスクールカウンセラーという専門家に相談してみることもひとつの方法です。
「本当はこういうキャラだけれども、学校生活や人間関係をスムーズにするため、一時的にキャラを演じているんだ」
という割り切りも大切なのかもしれません。
そして、自分の素のキャラで一緒に過ごせる友達が、この先の学校生活で見つかるともっと楽に日常生活を送ることができると思います。
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深澤 大地
富山県こどもこころの相談室 代表(臨床心理士)
長野県生まれ。関東の公的機関で教育相談員やスクールカウンセラーとして勤務。平成21年に富山県総合教育センター客員研究主事として招聘。平成29年に子ども専門の心理相談室「富山県こどもこころの相談室」を開設。
現在は、子どもに限定せずに未就学児~成人のカウンセリングを行っている。また、講演会、新聞の連載エッセイの執筆、雑誌への記事の掲載、メディアへの出演など、臨床心理士として県内外で活躍中。