お金にまつわるエトセトラ
貝や布もお金だった(歴史)
お金がいつ誕生したかははっきり分かっていません。
最初は欲しいものがあると物々交換していましたが、魚や肉などは時間がたつと腐ってしまうので価値がなくなってしまいます。
そこで保存しやすい貝殻や石、米、布などがお金の働きをするようになりました。紀元前2000~1500年ごろの古代文明で存在が確認されています。
ただ海の近くに住む人にとって貝殻は珍しくないですし、石は落とすと割れます。大量の米はかさばって不便です。
誰にとっても同じ価値を持ち、丈夫なお金が必要だと、昔の人は気付いたのです。日本で最初の貨幣と言われる「富本銭」は銅でできています。
でも銅よりは銀、金の方がきれいなので、より価値のあるお金として使われました。
世界で初めて紙幣を発行したのは中国だといわれています。金貨を受け取る預かり証「約束手形」が生まれると、国家独自の手形を発行するようになります。
1274年には中国全土で通用する紙幣が誕生しました。
そして今、紙からデジタルに進化しています。財布を忘れてもなんとかなります!
スムーズに暮らすための便利な存在(機能)
お金の機能は三つあります。①交換する②価値を公平に測る(尺度)③価値をそのまま残す(保存)―です。
日常生活で考えてみましょう。買い物で欲しい物がスムーズに手に入るのは「交換」の機能があるからですね。物々交換だったら、相手といちいち交渉しなければいけません。面倒くさいです。
次は②です。1個100円のリンゴと1個1万円のリンゴがあったら後者の方が高いと思えますね。これは金額によってある程度価値が定められ、値打ちを判断できるからなのです。お金は時間がたっても傷みません。
貯めておけば将来使うことができます。これが③の「保存」の機能です。お金って便利な存在ですね。欲しい!
1万円は20円!?(紙幣)
1万円は最高額の紙幣です。でもなぜ1万円分の価値があるのでしょうか。よく考えてみてください。紙幣はただの紙切れ。「1万円」と書いてあるだけです。なんと原価は約20円!
歴史からその謎をひもときます。金や銀などと交換できる約束手形が紙幣になると、混乱を避けるため国の政府は紙幣を発行できるのは一つの銀行と定めます。この銀行を中央銀行と呼び、国が応援するため国民の信用を得ます。日本の中央銀行は日本銀行です。
つまり1万円はただの紙ですが、日本銀行が発行して信用があるからお金として使えるのです。1万円札には「日本銀行券」と書いてありますね。でも、20円と1万円を交換してくれる人はいないかも。
大人になるにつれ支払う税金も増える(税金)
100円の歯ブラシを買うと、110円払わなければいけません。10%の消費税があるからです。
皆さんにとって一番身近な税金ですね。働いたり、車を持ったりすると、他にもさまざまな税金がかかってきます。国民一人一人だけでなく、会社も法人所得税などの税金を支払っています。
なかったらいいなと思うかもしれませんが、税金の使い道は暮らしと密接に関わっています。公立の小中学校では教科書や授業代は無料ですし、先生など公務員の給料も賄われています。さらに年金や医療、子育て支援など国民の福祉や暮らしを支えるために使われます。
首都圏の私大生は約8万円(仕送り)
大学生になったら1人暮らしをする人も多いはずです。首都圏の私立大学に2020年度に入学した下宿生への1カ月の仕送り平均は8万2,400円でした。これは前年度から2,900円減り、集計を始めた1986年度以降で過去最低でした。過去最高だった94年度の12万4,900円と比べて4万円以上も少なくなっています。仕送りから家賃を除いた生活費も最も少なく、1日当たり607円。新型コロナウイルスによる家計の悪化が要因とみられています。コロナは大学生の暮らしにも大きな影響を与えています。
※調査は東京地区私立大学教職員組合連合が埼玉と千葉、東京、神奈川にある9大学の保護者を対象に実施しました。
〈主な参考文献〉
山本良一監修・三輪昭子著「身近でできるSDGs エシカル消費①エシカル消費ってなに?」(さ・え・ら書房)、吹田朝子・合田菜実子・水野圭子・峯村創一著「小学生でもわかる お金にまつわるそもそも事典」(シーアンドアール研究所)、岡野進著「経済ナゾ解き隊 お金のホントを知る」(朝日学生新聞社)、池上彰著「NHK週刊こどもニュース よくわかる経済①お金ってなんだろう?」(汐文社)、荻原博子監修「小学校からの知っておきたい『お金』のすべて第1巻お金ってなんだろう? 電子マネー・ポイントカード・バーチャルマネー」(文渓堂)、荻原博子監修「どうなる?これからのお金図鑑」(文渓堂)、藤野英人著「14歳の自分に伝えたい『お金の話』」(マガジンハウス)、グレアム・ロートン著「New Scientist 起源図鑑 ビッグバンからへそのゴマまでほとんどあらゆることの歴史」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)