【PART1】石動高校新聞部が県を越えて地域ゆかりの人物を再評価
―市のイベントに合わせ3県合同パネルディスカッションを開催―
2022年4月24日、小矢部市のクロスランドおやべメインホールで行われた
「木曽義仲×巴御前プレミアムトーク」は、
NHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で
木曽義仲役を務めた青木崇高さんと
巴御前役を務めた秋元才加さんをゲストに迎えて開催された。
石動高校新聞部は、小矢部市制施行60周年を記念して開催される
このトークイベントに向け、平安末期の武将である
木曽義仲と巴御前について徹底取材。
イベント前週の16日には、義仲と巴について
他県の高校新聞部と合同でパネルディスカッションを行い、
プレミアムトーク当日のイベント会場ではそれらをまとめた展示も行った。
このプロジェクトを担当した3人の生徒(Nさん、Sさん、Kさん)に、
その成果や苦労した点について聞いた。
地域を盛り上げる力になれたら
―なぜ今回の小矢部市のトークイベントに向けて
活動しようと思ったのですか。
K:3月に発行した学校新聞の記事で、静岡県の高校の新聞部にもアンケートに協力してもらったのですが、現在NHKで放送中の大河ドラマで主演を務めておられる俳優の方にその新聞部がインタビューをした記事を見たのがきっかけです。
私たちもこのような活動ができたらと考えていた矢先に小矢部市でのトークイベントの開催を知り、いい機会ではないかと思いました。
そして小矢部市が義仲と巴について以前からPRしていたことも知っていたので、地域を盛り上げる力に少しでもなれたらと考え、活動しようと思ったんです。
―長野県の長野高校と滋賀県の彦根東高校とパネルディスカッションを
行ったということですが、感想を教えてください。
N:県外の新聞部の生徒や義仲館の西川さんとリモートで交流できたことは貴重な経験だったと感じています。
このパネルディスカッションを通して木曽義仲や巴御前に関して理解を深めることができ、
これを機に義仲と巴の存在を全国的にもっと広めていきたいという気持ちが強くなりました。
S:事前取材で調査した義仲と巴のことをさらに深く知る機会にもなり、
小矢部市や義仲と巴の魅力を、参加生徒や聞いてくださった方、
展示を見てくださるイベントの来場者に届けることができたと思います。
K:このようなパネルディスカッションをすること自体が初めてのことだったので、いい経験になりました。
市内での現地取材では俱利伽羅峠の戦いのことを中心に学んできたので、違う地域・視点の方々の話を聴くことは新鮮でした。
義仲と巴について知識を蓄えることができ、展示に活かせたと感じています。
―どうやって参加校を集めたのですか。
N:義仲が挙兵した長野県と、義仲が討たれた場所であり、墓もある滋賀県で新聞部のある学校にお声かけしました。
本当は鎌倉側から見た義仲の存在についても調査・報告をしてくれる学校を探していたのですが、
春の忙しい時期ということもあり、残念ながら参加していただける学校を探すのは難しかったです。
その点から見ても、4月に新聞を発行する予定にしておられた長野高校と彦根東高校の2校が
協力してくれたことはとてもありがたいことだと感じました。
新たな解釈広まってほしい
―パネルディスカッションを終えての成果や手ごたえはありますか。
K:参加してくれた学校の生徒が口々に「新たな視点で地元に関わりのある人物を見直す機会を得たことは意義深かった」
と語ってくれたことは、準備や運営を進めてきた苦労が報われた思いがして嬉しく受け止めました。
長野高校さんの発表の中に、「県の歌の歌詞にも義仲が出てくるのに、県内ではあまり評価されておらず
伝承が課題だ」という内容があって、同じ思いを持っている義仲や巴ゆかりの地域があるのではないかと思いました。
N:トークイベントの会場では、高校生のパネルディスカッションの展示を多くの人に見てもらえ、
展示について話しておられる様子がうかがえたのが嬉しく、やってよかったと充実感を感じた瞬間でした。
S:私も同じで、トークイベント会場での展示に対する来場者の方の反応が印象深いです。
パネルディスカッションや義仲・巴について取材した内容を展示にまとめたのですが、
多くの来場者の方に興味を持って見ていただけている様子を見たときはとても嬉しくて。
展示の準備には苦労をしましたが、本当にやってよかったと思いました。
―市内や県内での取材の感想を教えてください。
N:私は小矢部市在住ではないので今まで義仲と巴についてあまり知らなかったのですが、義仲の勇ましさや全国各地に残る巴の足跡を感じることができてよかったです。
歴史小説などでの扱いから、義仲はあまり良い評価のされていない人物だと捉えられている場合が多いようですが、知的で行動力のある人物であったのではないかという見方が新たな解釈として広まっていけばいいと思いました。
S:小矢部市の観光協会の観光ガイドさんや市の職員の船見さんの案内で、市内の義仲と巴が実際に足を運んだとされる地に取材に行くことができ、当時の2人の姿に思いを馳せることができました。
また、石動高校の野球部が毎年夏の大会前に必勝祈願に訪れている埴生護国八幡宮の埴生宮司さんに社殿の歴史や義仲の戦勝祈願について教えていただき、800年以上前の出来事が現在につながっていることを実感できました。
N:道の駅メルヘンおやべさんや県外の高校の新聞部のご協力も得て、義仲と巴の認知度についてのアンケート調査を行いました。
義仲と巴を知っていると答えた人は小矢部市在住者で100%、市外在住者で65%でした。
その多くは「学校の授業で習ったから」、「歴史が好きだから」という理由だったのですが、34%が「鎌倉殿の13人」をきっかけに知ったという答えだったのは驚きでした。
今まで知らなかった人に伝えるという意味では、思ったよりも大河ドラマの影響力は大きいと感じたんです。
これは展示でも紹介しましたし、青木さんと秋元さんへの取材でも質問させていただく材料になりました。
―オブザーバー参加の西川さんはどういう方なのですか。
N:義仲を30年間調べ、義仲館のプロデューサーを務めておられる方です。
パネルディスカッションでは、長野、富山、滋賀で調べた義仲のことについての疑問点や補足情報についてお話しいただけました。
そこからまた新たな疑問も生まれ、参加した生徒にとってとても貴重な時間になったと思います。
S:義仲について長年調べておられる、その道のプロである西川さんに私たちの調査結果を聞いていただくことができ、また長野、富山、滋賀に関連する義仲の話を聞くことができたことはてとても貴重な機会になりましたし、素晴らしい取り組みだと評価していただいたことを光栄に感じました。
Part2はこちら↓
富山県立石動高等学校
新聞部のみなさん
小矢部市にある富山県立石動高等学校はあいの風とやま鉄道石動駅から徒歩8分。総勢17名の新聞部は定期的に学校新聞を発行しており、『全国高校新聞年間紙面審査入賞』を目標に日々活動中!制作された新聞は市内企業の協力を得て、掲示されている。
(取材内容は2022年5月時点の内容です。)