クリーニング店が取り組むエコプロジェクト
~制服リユース&ビニールカバー廃止でSDGsに一歩前進!~
富山市内でクリーニング店を10店舗展開する㈱ホームドライ富山では、
要らなくなった制服や体操服を回収、クリーニング後、格安で譲る
「おさがりお結びプロジェクト」をスタートさせ、注目を集めています。
またクリーニング後、服にかけていたビニールカバーを不織布エコカバーに切り替え、
「リデュース・リユース・リサイクル」を実践。
環境にやさしい事業の推進に取り組んでいます。
今回、Future編集部とブン太は、富山市上千俵町にある本社工場を訪問。
工場長の中村達也さんにお話をうかがいました!
<次に使いたい人に格安価格で提供>
――要らなくなった制服や体操服をリユースする「おさがりお結びプロジェクト」について教えてください!
中村さん(以下、中):2021年11月から「おさがりお結びプロジェクト」を始めました。
使い終わった学生服やブラウス、体操服、上履きなどを最寄りの店舗に持ち込んでいただき、それらを修繕・クリーニングをし、気持ちよく使ってもらえる状態にして、希望するお客様にお譲りするという内容で、制服や体操服を持ち込んでいただいたお客様には、制服なら500円分、体操服やブラウスは200円分のクリーニング券をプレゼントしています。
――はじめようと思われたきっかけは何ですか?
中:地域のお客様から「学生服を誰かに譲りたい」、「制服が小さくなってしまった。安いリサイクル品があれば買いたい」、「洗い替えの体操服があったら便利」といった声を聞いていました。
クリーニングっていうのは元々、使った服をきれいに洗って、長く使い続けるためのお手伝いをするメンテナンス業で、何かできないかと2年ほど前から構想を練っており、モノを大切に使ってもらいたいという気持ちで始めました。
譲ってほしい学校の制服、サイズなどはお電話でお問い合わせください。今はまだ数が少ないですが、春は卒業と入学のシーズンなので、これからたくさん持ってきていただければと思います(笑)
<制服のリサイクル文化をつくっていきたい>
――どんな方が利用されていますか?
中:中学時代って成長期ですよね。
中3になると入学時に買った制服がかなり小さくなってしまう。
買い替えたいけど、あと1年弱のために新品を買うのはもったいない…。
それならあと少しの間は中古品で過ごそうという考え方で購入する方がいます。
ほかには、洗濯して乾かなかった時とか、シミを作ってクリーニングに出している間の補助的な使い方もありますね。
――今後の目標などを教えてください!
中:「制服は使った後、次の世代に譲る」というリサイクル文化を根づかせたいですね。
例えばバレンタインにチョコを贈るとか、ハロウィンに仮装をするように、
当たり前のこととして生活の中に根づいていけば…。
――なるほど~!
中:実はもう一つ、皆さんの暮らしに「お布団のクリーニング」を根づかせたいと思っています。
お布団を洗っている家って、意外と少ないんです。
でも、お布団は毎日使うものだし、いつも清潔に使ってもらいたい。
だから、季節の変わり目には必ずお布団をクリーニングしてもらえるよう、
今後も積極的にPRしていきたいと思っています。
<ビニールカバーを不織布カバーに全面切り替え>
――工場では、今まで使っていたビニールカバーをやめて、
不織布カバーに切り替えたと聞きました。
中:はい。2021年6月、プラスチック製品の削減を業者に義務づける「プラスチック資源循環促進法」が制定され、この春から施行されます。
私たちクリーニング店は、ビニールカバーとプラスチックハンガーが削減の対象になりました。
ハンガーのリユースは以前から取り組んでいますが、ビニールカバーはまだ…。そこで2021年夏、ビニールカバーに代わる不織布のエコカバーを開発することにしました。
――どうやって開発したんですか?
中:メーカーさんに何度も試作品を作ってもらいました。
ポイントは3つ。
1.意匠性(見た目)
社員の意見を生かしてブルー、イエロー、グリーンの3色を作り、カラフルな感じにしました。
2.作業性(使いやすさ)
服にさっとかけられるよう、前を開けたマント風にしました。
3.耐久性(丈夫さ)
破けたり、こすれたりしないよう、ある程度の厚みを確保しました。
――使ってみていかがですか?
中:2021年12月から、全店一斉に使い始めました。
工場でクリーニングが終わった服に、このエコカバーをかけて各店舗に運び、そのままラックにかけて保管しています。
お客様が来店されたら、エコカバーをさっと外して服だけをお渡ししています。
使い終わったエコカバーは再び回収し、工場に戻しています。
――ビニールカバーは使われていないんですか?
中:そうです!当社の受注件数から考えると、これによって1年間で1.5トンものビニールゴミが削減できることになります。着数で言うと、14万点分。
すごい量のゴミをなくすことができるんです。
あともう一つ、ビニールカバーをやめた理由として、衣類を正しく保管してほしいという思いがありました。
クリーニングの後、ビニールカバーをかけたままクローゼットで長期保存すると、通気性が悪くなってカビや変色が起こることがあるからです。
――社員の皆さんや、お客様の反応はいかがですか?
中:最初は社内でも「カバーをかけずに、お客様に服を渡して大丈夫なの?」って思っていました。
でも、実際やってみると作業がしやすいし、無駄も省ける。
カラフルなカバーのおかげで工場や店舗の雰囲気が明るくなったと感じます。
お客様からのクレームもほとんどないので、「意外と大丈夫だね」って思うように…(笑)。SDGsの「12.つくる責任 つかう責任」を意識するきかっけにもなりました。
ブン太の一言
中村さん、ありがとうございました!
ちなみに制服を長くきれいに着るためには
1.汚れをためない
できれば月に1回は洗濯を…。
2.脱いだ後はハンガーにかける
シワや型崩れを防ぎます!
3.いざという時は応急処置をする
汚れが付いた際は濡れたティッシュやハンカチで
ポンポンと優しくたたく
ことが大切と伺いました!!
「おさがりお結びプロジェクト」の詳細は
ホームページ(コチラ)からも是非、ご確認ください!
ホームドライ・おしゃれ工房
中村 達也さん
この業界で働いて15年。SDGsの観点から、「クリーニングの大切さを伝え、愛着を持って服を使い続ける文化をつくっていきたい」と話してくれました。家庭では3人の娘を持つ、子育てにも積極的なやさしいお父さんです。
<問い合わせ>
ホームドライ工場本店
・076-429-5652
・富山市上千俵町16-2
・平日8:00~18:00
・日、祭日9:00~16:00
・毎週木曜日は定休日