
富山にこんなお仕事2025
スタートアップ社長
人生に無駄なものはない
香りは五感に訴えかける重要な要素の一つだ。時には癒やしをもたらし、モチベーションをアップさせる。
空間の香りを演出することで、ショップやホテルを魅力的にするスタートアップ企業「HERBAL8」を立ち上げた。「一番楽しい瞬間は、お客様の希望をヒアリングで引き出せた時。完成した香りを提案する時はドキドキしますが、嗅いだ瞬間に『いいね』と言ってもらえると本当にうれしい」。新しいサービスを提供する起業家として経営を軌道に乗せつつ、香りで心地よい空間をつくる調香師として、日々顧客に向き合っている。
元々、起業も香りに関わる仕事も志していたわけではなかった。高校時代は海外に憧れ、まずは内向的な性格を直そうと県外の短大へ進学。多様な価値観に触れ、積極性が身に付いた。卒業後は一度富山へ戻るが、ゼミ仲間と行ったアメリカ旅行での体験に刺激を受け、一念発起。23歳で上京し、企業に勤めながら音楽活動を行った。
香りに目覚めたのは、体調を崩してUターンした時。富山の新鮮な空気や自然の香りに癒やされ、元気を取り戻した。同じ体験を他の人にも届けたいと、アロマセラピストの妹と会社を設立した。自分たちらしい香りを探してシソと出会い、無農薬で自家栽培し、独自の天然香料を開発した。自然素材は採取する時期や土壌によって違いが出るが、それを個性と捉え、素材本来の良さを活かそうと大切にしている。「シソの香りは変幻自在。合わせる素材で魅力が変化するのが面白い」と語る。
「HERBAL8は『私自身』。これまでの経験がすべて今につながっている。夢は、日本独自の香りを世界に届けること」と目を輝かせる。
私の愛用品

■名刺
「一緒に会社を立ち上げた妹とともに香り空間を提供していく姿を、デザイナーが上手く表現してくれました」というお気に入りのデザイン。海外での仕事を見据えて英語表記も。いつも肌身離さず持ち歩いている。
※掲載内容はFuture 2025[進学・オシゴト版]
(2025.3.12時点のものです。)