
富山にこんなお仕事2025
医師
その先の人生も助けたい
中学生の時のたった2日間の職場体験が人生を決めた。特に将来やりたいこともないので、なんとなく病院に行った。人生の最期の時間を過ごす人のためのホスピスだった。初日に言葉を交わした人が、翌日に永眠した。衝撃を受けた。「お別れの会」に参列しながら「自分にも何かできることがあったのでは」と思った。それが医師を目指すきっかけだった。
医療漫画『ゴッドハンド輝』からも影響を受けた。主人公が友人を助けた際、「その子の人生や家族の人生まで救った」と教えられる場面に共感したという。木の枝が分岐して伸びるように、一つの命はたくさんの人に影響するのだ。「ただ患者さんの病気を診るだけでなく、その先の人生に関わる仕事がしたい」。その思いは今も変わらない。
高校時代は医学部を目指して勉強に励んだが、テニスに打ち込みすぎた影響もあり浪人を経験。「毎日コツコツ続けることの大切さを学びました」。計画的に勉強するようになり、富山大学医学部に合格した。
医師となって4年目の現在、特定の臓器や疾患に特化せず、患者さんの全体像を診る総合診療専門医を目指している。富山大の医局に所属し、県内各地の病院で研さんを積む。
病棟回診、カルテ記入、外来診療、救急対応と毎日忙しい。それでも「状態の悪かった患者さんが元気になって、『先生に診てもらえてよかった』と言ってくださると、本当にうれしい」と手応えを語る。
救急当番の日は今でも緊張が走る。電話が鳴るたびに心拍数が上がる。「いやー、全く慣れません」と笑う表情からは、医師としての真伨な姿勢が垣間見える。
私の愛用品

■腕時計
高校受験を控えた中学3年生の時、父親から贈られた。大学の入学試験も国家試験もこの時計と一緒に戦った。「なんとなくちらっと見ると父のことを思い出して、頑張ろうかなという気持ちになる」という。
※掲載内容はFuture 2025[進学・オシゴト版]
(2025.3.12時点のものです。)