「普通」のエトセトラ
今、「普通」に見えるものも歴史を振り返ったり、違う角度から眺めたりすると意外な発見があるかも。
ピンクは女子の色?
ピンクというと女性らしい色というイメージは根強いかもしれません。例えば映画『バービー』やアニメシリーズ『プリキュア』もピンクの色彩が目立ちます。しかし、血を連想させる赤と共に華やかなピンクはルネサンス期のヨーロッパでは、男性がまとっていました。ピンク色の鎧を着た貴族の男性の肖像画も残っています。
染色技術の発展により、目新しいピンクは男女共に人気を博しました。しかし、フランス革命を契機に「貴族的」なものは拒まれます。男性の間では黒色のような無彩色が好まれ始めるのです。19世紀後半になると、特に簡素で実用的な服を着る傾向が強まります。
アメリカではピンクが幸せで受動的な色というイメージが強まります。男の子はブルー、女の子はピンクという色分けが第二次世界大戦後に一般的になります。日本でも戦隊モノの女子メンバーはピンク色になりました。しかし、現代では、ピンクに対する認識も変わってきました。メンバーカラーがピンクという男性アイドルもフツーにいます。
女性参政権 最初はニュージーランド
18歳選挙権が認められ、日本の高校生の皆さんにとっても選挙は身近なものになったでしょう。一定の年齢に達すれば、誰もが平等に選挙権・被選挙権を有する制度を普通選挙と言います。
女性の参政権が世界で初めて認められた国はニュージーランドです。1893年、ケイト・シェパードという活動家が率いた運動によって成し遂げられたのです。彼女は10ドル紙幣の肖像にもなっています。女性参政権に関する法案は何度も否決されましたが、僅差で可決しました。
その40年後にようやく女性の国会議員が誕生しました。ニュージーランドでは、これまでに3人の女性が首相を務めています。日本で女性首相が誕生するのはいつでしょうか。
昼夜逆転!昼に夜の花を見られる!?
受験勉強やゲームのし過ぎで夜型になってしまった高校生もいるのでは!? そろそろ普通の生活リズムを取り戻したいという人も多いでしょう。参考になるかどうかは分かりませんが、そんな人は京都府立植物園に足を運んでみてはいかがでしょう。
なんとこちらの施設には、月下美人やバオバブといった、これまで夜にだけ楽しめた花を昼に見られる「昼夜逆転室」があります。夜間に太陽光に近い波長の照明で植物を照らし、日中の開室直前に真っ暗にして錯覚を起こさせるのです。夜咲きの花が昼間に見られるんです。夜咲きの高校生、一度京都へ。
アルミ 宝石とか貴金属かよ
大阪・関西万博が来年開催されますが、ちょっと盛り上がりに欠けていますね。しかし、1855年のパリ万博は大盛況だったようです。そこで「粘土からの銀」として、ある金属の延べ棒が展示され、注目を浴びました。
その正体はアルミニウムです。宝石をちりばめた王冠と共に展示されたそうです。現代の我々は軽量で加工しやすいアルミを家電や家具の材料として、フツーに使っています。しかし、展示を見たナポレオン3世は驚愕し、工場を建設。ディナーでは、一番大切な客はアルミの皿やスプーン、フォークでもてなし、それに次ぐ身分の人たちには金や銀の食器で料理を提供したと言います。お客さんたちはアルミの軽さにとても驚き、感激したそうです。
その瞬間、今とは全く逆の価値観が生まれていたんですね。現代の僕なら迷わず、金と銀のお皿を選びますけど。
みんな大好きユニクロ 普通の日々に寄り添う
去年のユニクロのキャッチコピーがすてきでした。「しあわせって今日のことだ」。普通の日々が振り返ってみれば特別な日々だったということもあると思います。ユニクロはそんな普通の日々に寄り添おうとしているのでしょう。
ユニクロは日本最大のアパレルチェーンです。世界でも躍進しています。多くのファッションブランドは、年齢や好み、収入などターゲットとする顧客の特性に注目してきました。しかし、ユニクロが画期的だったのは、年齢、性別、好みを問わずに着られる「部品」として服を作ったことです。誰でも目的に合わせて自在に着られる服を目指しているのです。
ちなみにユニクロ躍進のきっかけは1998年の原宿店のオープンです。それまで1万円でもおかしくなかったフリースを、1900円で販売したことでも注目を浴びました。2000年には、50色ものフリースを売り出し、話題を集めました。きっと皆さんのお父さんやお母さん、おじいちゃん、おばあちゃんも買っているかも。