スペシャルインタビュー
川谷絵音さん②
Future vol.17に掲載
サークル初日は休日課長が女の子を口説いていた
ところで川谷さんはどんな高校生だったのですか。
音楽は親の影響でMr.Childrenを聴いていましたね。あとはBUMPOFCHICKENにRADWIMPS、ELLEGARDENですね。
あと、長崎という土地柄、パンクが強かった。Hi-STANDARDやGOINGSTEADYはみんな聴いていました。
元々サッカーをやっていたんですけど、高校1年の時に気胸になっちゃったんです。で、静かにしているしかなくなった。
やることがゲームか音楽を聴くしかない状況になったんです。
でも、高3でバンドがやりたくなって、ギターとベース、ドラムのメンバーを集めました。僕はボーカルです。
でも、すぐにクビになったんですよ。ギターのやつがボーカルギターをやりたがって、追い出されました。
えー、川谷さんが中心になって作ったバンドなのに?
悔しいですよね。だから東京に行くという目標を立てて、国立大学をリストアップしました。
単純に東京に行ったら、かつてのバンドメンバーを見返せるかなって(笑)。子どもっぽいですよね。
川谷さんはいつから音楽が好きだったんですか。
小学校1、2年生の頃から毎週TSUTAYAに行ってトップ10のシングルを全部借りていたんですよ。
当時はモーニング娘。が全盛期の頃かな。
川谷さんは音楽の分析が的確ですよね。川谷さんが誰をどう評価したかというのも注目されている。
その素地が少年時代にあるのかもしれませんね。
いやいや、当時はただ義務感で聴いていただけです。
そんな目的意識もなかった。ただ量だけはめちゃくちゃ聴いていました。
川谷さんの作る音楽は展開が複雑ですよね。並のJ-POPだと2コーラス目は1コーラス目の繰り返しということもありますが、川谷さんの曲はメロディーの譜割りやアレンジの変化に富んでいますね。
うーん、どうだろう。大学の軽音サークルに入ってJーPOPに限らず、いろいろな音楽を聴き始めたのが大きいかな。
先輩たちがすごくコアな音楽を聴いていたんですよ。
そこで結構プログレッシブな音楽とか、ブラジルのジャズとか教えてもらいましたね。
ゲスの極み乙女のベーシスト、休日課長はそのサークルの先輩だったんですよね。
第一印象は良くなかったですね(笑)。だって僕がサークルに入った初日に1年生の女の子を口説いていたんですよ!
「うわっ、こういう人になりたくない」ってイラッとしていました。
でも、バンドに誘うんだ。
その嫌だなって思った日に、先輩たちのバンドがお披露目の演奏をしてくれたんですよ。
それを見学していたら、ぶっちぎりでうまいベースを弾ける人がいた。それが課長でした。
3年生の時に初めて一緒にバンドをやったのかな。それから「やっぱりいいな」って思って続いている。
縁ですね。課長とは今ではプライベートでも集まるような仲になりました。人間関係って不思議なもんですね。
川谷絵音
ミュージシャン
かわたに・えのん/長崎県出身。2014 年、indigo la End とゲスの極み乙女の2 バンドでワーナーミュージック・ジャパンより同時メジャーデビュー。さらにジェニーハイ、ichikoro、礼賛を加えた5 バンドで活動し、DADARAY、美的計画をプロデュース。さまざまなアーティストに楽曲提供する。
※掲載内容とプロフィール情報は
Future vol.17(2023.12.4)時点のものです。