

スペシャルインタビュー(Part2)
岡崎体育さん(Future vol.12/2021.7.12発行に掲載)
Q ファンクラブに「財布」を意味する「Wallets」という名前を付けています。
ちょっと生々しいですね。
レコード会社から「ファンクラブをつくろう」という提案があった時、
アイドルでもないから「岡崎体育にファンクラブ?(笑)」ってビミョーだったんですよ。
だからギャグみたいな感じで「財布」という名前にしちゃった。
要するに後ろめたさというか、照れ隠しですね。
Q グッズを買ったり、SNSで情報を発信したりするとポイントがもらえて、その獲得ポイントによって特典
が得られるというポイント制のファンクラブシステムを採用しました。
これがネットで紹介されると、「ファンに優劣を付けるのか」と受け止められて炎上しました。
僕らの伝え方が悪かったんでしょうね。
文言にはかなり注意していたんですが、ニュースの出し方がうまくいかなかった。
使った金額だけでランク付けされるような印象になっちゃった。
同じ文章でもメディアの切り取り方次第では伝わり方が違いますからね。
それにSNSは拡大解釈されやすい。結果的にはファンの方々に悲しい思いをさせてしまいました。
Q 音楽活動を続けるためにもお金って大切なものなんですけどね。
あらためてお金ってどんな存在ですか。
お金は今の文明がある限り、一番大事なものの一つなんですよ。
愛も大事だけど、お金と比べるものじゃないですよね。
音楽やるにしても、ライブハウス借りるのにも、CD出すのにもお金は必要。
お金がある人生とない人生だったら、ある方がいいに決まっています。
お金のことを言わないのがいいとされている風潮はちょっと気持ち悪い。
悪いことして手に入れたお金でない限り、稼ぐこと自体を悪く言うのはダサいですよね。
みんな自分の仕事に誇りを持ってお金を稼いでるんですから。
Q DTM(デスクトップミュージック)をテーマにした番組に出演していらっしゃいました。
番組で見ていても、10代の音楽の作り方が変わってきているのは、よく分かります。
今はパソコンやスマホで作るのが普通になってきました。
ギターを買ってスタジオで練習するのもお金がかかりますよね。
昔より音楽を作ることにお金がかからず、手を伸ばしやすくなっているのはいいことだと思う。
DTMを突き詰めるのもいいし、それを入口に友達とバンドを始めるのもいい。
いろんなことに挑戦して自分のスタイルを見つけてほしいですね。
Q 音楽に限らず映像も工夫次第ですよね。体育さんの『MUSIC VIDEO』という曲は
「MVあるあるネタ」を取り入れて、You Tubeでの再生回数が4500万回近い大ヒット。
でも、映像の制作費は6万円で半額がレンタカー代だったそうですね。
『MUSIC VIDEO』の時はスタッフもいなくて、
友人の「ヤバイTシャツ屋さん」のこやまたくやくん(寿司くん)が手伝ってくれました。
僕が運転している隣で、彼が編集していたりして楽しかったですよ。
自分の手でものづくりしているという感覚がありました。レコード会社に
「ああだこうだ」言われるんじゃなくて、自分たちで動いているのが楽しかった。
お金は大事なんだけれど、なければないなりに楽しいことができるんですよ。
あるにはこしたことはないですよ。でも、そういう制限がある中でアイデアが生まれてくることもあります。
岡崎体育

1989年生まれ、京都府出身の男性ソロアーティスト。2012年より地元のスーパーマーケットで働きながら「盆地テクノ(BASIN TECHNO)」という架空のジャンルを掲げて活動を開始。自主制作アルバムを発表しながら、関西を拠点にライブ活動を展開する。16年3月にメジャー(巻尺)に音源を付けた“メジャーデビューアルバム”「MEASURE」を、5月にSME Recordsから正真正銘のメジャーデビューアルバム「BASIN TECHNO」をリリース。17年3月に「MUSIC VIDEO」のクリエイティブや話題性が評価され、「第20回文化庁メディア芸術祭」エンターテインメント部門で新人賞を受賞した。19年1月に3rdアルバム「SAITAMA」をリリース。同作を携え6月に埼玉・さいたまスーパーアリーナ公演を開催し成功を収めた。21年5月にコンセプトアルバム第2弾「OT WORKS II」を発表した。
https://okazakitaiiku.com/
※掲載内容とプロフィール情報はFuture vol.12(2021.7.12)時点のものです。