スペシャルインタビュー
~よっちさん~
「ボンボンTV」は、さまざまなことに体当たりで挑戦することで、
小中学生に人気のYouTubeチャンネルだ。
登録者数は230万人を超え、たくさんの人に愛されている。
リーダーは、高岡市出身のよっちさん。
キレのいいトークと動き、少年のような遊び心がいつも光る。
よっちさんに高校時代や動画を作るやりがいを聞いた。
記録より記憶に残る仕事を。
Q YouTubeにはまったきっかけは?
HIKAKINさんです。HIKAKINさんしか、僕が見始めた高校卒業当時はいなかったんですよ。
どこに惹かれたかというと、1人で世界が完結しているところかな。
僕も1人遊びが好きで親近感がありました。
最初は見ているだけです。でも、次第に「自分も撮ってみよう」と思うようになりました。
高校の野球部ではベンチに入れず、バカにされて悔しかった。
だから「レギュラーは取れなかったけど、YouTubeでは活躍するぞ。これで食っていくぞ」って見返したかったんです。
工場の夜勤の後、1人で寸劇したり、ゲーム実況したりしていましたが、再生回数は30回くらい。15回は多分自分です(笑)。
でも「いつか誰かに発見されるかもしれない」と信じていました。幸い、友達がいないので時間はあります。誘わないし、誘われないし(笑)。
高校生に一つ伝えたいのは、友達が少ないことを悲しまなくていいということです。
友達がいないからこそ、やりたいことに没頭できることもある。
Q YouTubeで活躍する動画クリエイターをマネジメントすることで知られる
「UUUM」にはどのように所属することになったのですか。
コンクールに応募して、拾ってもらいました。それで人生が変わりましたね。
社長から電話でUUUMに誘われて、すぐに決意しました。
誰にも言わないで隠れてYouTubeをやっていたけど、親は多分知っていたんでしょう。
母さんに「俺、東京行くから」と言ったら、「えっ」って3秒くらい固まりましたね。
それから「そうながけ。そっけ、そっけ」と言葉にならないようなことを言いながら理解してくれました。
最後には「やりたいことをやったら帰ってこられ」と送り出してくれました。それから、8年間なんとか東京でやっています。
Q ボンボンTVが始まった後は順調でしたか。
立ち上げたばっかりの頃は苦労の連続でしたよ。最初は「再生回数500回くらい行けばいい」と言われていたけど、それも難しかった。
でも、そのうち千回、1万回、2万回とゆっくり伸びていきました。で、海外のコンテンツを真似て、ペットボトルで巨大なグミを作ったんです。
それが当たって100万回に届きました。そこからは右肩上がりです。
同郷のはじめしゃちょーとか、他の動画クリエイターさんとコラボできたのも大きいです。
動画制作の流れをお伝えすると、毎週月曜日に企画会議をしてアイデアを出し合います。
土日以外は1日がかりで撮影と編集をやっています。これを8年続けています。燃え尽きることはないですね。
毎日、発見やちょっとしたアクシデントがあって同じ日はありません。イベントも大好きです。視聴者さんと直接会える。
再生回数だけを見ていると数字しか見えないけど、会場に行けばファンの笑顔が見える。
この人たちの人生の中にボンボンTVやよっちがいるんだと思うと胸が熱くなります。
Q アイデアはどうやって生まれていますか。
お休みの日はセミのように冬眠しています。幸い、友達が少ないので誘わないし、誘われないでしょう?(笑)。
家でテレビやサブスクでドラマやバラエティー番組を見ています。
「このカメラのアングルがいいな」「いい企画だな」とチェックして、自分なりに消化しています。
TikTokだったり、Instagramだったり、いろんなメディアも使う。
幸い、僕らはチームなので若いメンバーに流行を教えてもらって取り入れています。
海外の動向も調べながら、新しいものにどっぷりと浸かっています。
Q はじめしゃちょーやHIKAKINさんはどんな人ですか。
はじめしゃちょーは、あのまんま。一度、一緒に富山に帰ったことがあるんですが、いきなり「心霊スポット行こーよ」と誘ってくる。
で、「撮影するんですか」と聞いたら「え、しないよ」って言うんですよ(笑)。単に行きたいだけ。こんな人と友達になりたくない(笑)。
言い換えると、プロ精神の塊です。心底クリエイターですよね。尊敬します。
HIKAKINさんと初めてお会いしたのは会社です。背中を向けたまま、パソコンの画面を暗くして、モニターに映り込む姿を見ていました。
直接見るなんて、素人みたいでできませんでした(笑)。
ようやくコラボした時も全然しゃべれない。いまだに緊張します。
でも、ご本人はとても腰が低いし、周りにとても気を使う紳士的な方。親しみやすいお兄ちゃんみたいな感じです。
Q 今後の展望は。
YouTube界最強のバラエティーチャンネルに育てたいです。目指すは「令和のザ・ドリフターズ」。
今は特にコントに力を入れているし、イベントもできるようになってきたので、ドリフがやってきたことに近づいている気がします。
ライバルは同郷のはじめしゃちょーでしょうか。彼は富山県民のスターですよね。でも、スターは2人もいらない。削っていきます(笑)。
というのは冗談で、タッグを組んでいいものを作りたいですね。
個人的には数字にそれほどこだわらなくなってきています。
どれだけ再生回数が伸びるかというより、一つ一つの仕事をどれだけやり抜けるか、誠実に向き合えるかを大切にしています。
記録より記憶に残る仕事がしたいです。まあ、70歳になっても「あっちそっちよっち」と言っていたいですね。
よっち
動画クリエイター
よっち/1993年高岡市生まれ。高岡商業高校卒業後、工場勤務の傍ら、動画投稿をスタート。UUUMのコンテストに合格し、2015年からボンボンTVのリーダーとして活躍している。趣味は小学4年生から続けている野球。ポジションはショートかサード。
※掲載内容とプロフィール情報はFuture 2023[進学・オシゴト版] 2023.3.7時点のものです。