SPECIAL INTERVIEW~嶋佐和也さん~

好きな芸人ランキングで2年連続1位に輝いたお笑いコンビ「ニューヨーク」。
さまざまなメディアに引っ張りだこで、ブレイク街道をばく進中だ。
主にボケ担当の嶋佐和也さんは黒部市にルーツがあり、何度も県内を訪れたことがあるという。
富山の思い出とともに、物足りなさを感じていた高校時代や芸人を志した理由を語ってもらった。

周りは面白い人ばかり。どう転んでも面白い

 Q 黒部市におばあさんがいらっしゃるんですよね。
「ランジャタイ」(ボケの国崎和也さんが氷見市出身)とのYouTubeで話されていました。
母方のおばあちゃんの家が宇奈月にあって、昔はお盆と正月に必ず帰っていました。
魚津とか近場しか行ったことがないですけど、蜃気楼を見たことがあります。あとやっぱり魚がうまいですよね。
富山のチェーン店の回転ずしによく行っていて、めっちゃおいしかったのを覚えています。
東京のカウンターのすし屋レベルですよ。最後に帰ったのは10年くらい前かも。
北陸新幹線で簡単に富山に帰れるようになりましたけど、なかなかタイミングが合わなくて…。
でもおばあちゃんはテレビで元気な姿をちょくちょく見てくれているようなので、うれしいです。

 Q 文春オンラインによる「好きな芸人ランキング」で2年連続1位に選ばれました。
不正なしでちゃんと集計してます(笑)。文春オンラインに登録した人が投票できるシステムらしいです。
俺らはそういった層に人気があるんでしょうね。でもここ1、2年はおじいちゃんやおばあちゃん、小学生からも声を掛けてもらえます。
今まではなかったことで、幅広い世代に知ってもらえるようになったんだと実感しています。

 Q どのような高校時代を過ごしていましたか。
高校は地元の進学校に通っていました。ウエイトリフティング部が全国でも強豪で、文武両道な雰囲気の学校です。
俺は部活もせず、不良でもなく、彼女はずっといない。
学校の真裏にある、すげー仲のいい同級生「みっちゃん」の家でずっとゲームをしていました。
プレイステーションの「鉄拳」で先に100勝したら勝ちとかやっていました。
小学校から空手の道場に通っていたんですけど、高校はずっとさぼっていましたね。
道場に行くふりをしてみっちゃんの家で時間をつぶして帰るみたいな。月謝は払ってもらっていたので親には申し訳なかったです。
東京に出たくてしょうがなくて、高校はそのためのステップくらいにしか考えていませんでした。
都会の大学生になって楽しいキャンパスライフを送るのが一番の目標。ドラマ「オレンジデイズ」(主演:妻夫木聡)が憧れでした。
指定校推薦での進学を狙っていたので定期テストは頑張っていたんですけど、
東京にある大学の枠は自分より成績や内申点がいいやつが応募していました。
悩んでいたら神奈川大学があったんです。横浜は東京に近そうだし都会そうだし。「まぁいいかな」と思って入学しました。
大学は楽しかったですよ。当時はテニスサークルが全盛期で、サークルのみんなと遊びに行ったり、お酒をわーわー飲んだり。
勉強しない一番良くないタイプの大学生でした。
でもね、確かに高校よりも楽しかったけど全然足りてなかったんです。俺の中では。
就活の時期になったけど、やりたい仕事はなにもない。興味のない職場で働いて、大学時代がピークになるのが怖かったんです。
牛丼屋とかいろいろバイトはしていたんですけど、すっげぇ怒られるんですよ。
仕事できるタイプじゃなかったので、絶対出世できないだろうなとも感じてました。
音楽は好きだったから音楽関係の会社を何社か受けたんですけど余裕で落ちちゃったので、NSC(吉本総合芸能学院)に願書を出しました。

高校時代を振り返る嶋佐さん

 Q お笑いが好きだったんですね。
ダウンタウンさんがずっと好きで、小学校のときは「ダウンタウンのごっつええ感じ」を欠かさず見ていました。
ぎりぎりリアルタイムで見ることができた世代です。

 Q NSC同期の屋敷裕政さんと「ニューヨーク」を結成し、早くから注目を集めました。
若手の劇場では上のランクに割とスムーズに行けたし、テレビもちょくちょく出させてもらったんです。
ネタもスタッフさんや先輩が「面白い」と言ってくれていました。
遅かれ早かれ賞レースの決勝に進めると思っていたけど、なかなか行けなくて…。ずっと「ネクストブレイク芸人」と言われてきました。
結成9年目の2018年はふてくされ度マックス。キングオブコントもM-1も前年より成績が悪かった。
M-1は霜降り明星、キングオブコントはハナコが優勝しました。2組とも後輩で「(売れる)時期逃しちゃったかな」と焦りました。
何が原因で流れが変わったのかは分かりませんが、19年にM-1決勝に初めて行って、20年にキングオブコントで準優勝しました。
賞レースをきっかけにテレビにたくさん出られるようになりました。
憧れの松ちゃん(ダウンタウンの松本人志さん)と番組でご一緒したり、ご飯に連れて行っていただいたりして、
あの時の自分からは想像もできないですけど、これほど素晴らしいことはないです。
芸人の世界は面白い人しかいないので、どう転んでも面白いですね。

 Q 高校生へのメッセージをお願いします。
俺は高校を卒業してからの方が人生楽しかった。
あんまり楽しくない人は卒業してから楽しいことがたくさん待ってると思います。
逆に高校生活をフルでエンジョイしていたら今が人生のピークの可能性があります。
大人になったら同窓会で集まるのがめちゃめちゃ好きで、高校時代の思い出話ばかりをするやつになるかも。気を付けてください(笑)。

嶋佐和也

しまさ・かずや/1986年生まれ。山梨県出身。神奈川大学卒。2010年に屋敷裕政さんとコンビを結成し、冠番組「NEWニューヨーク」(テレビ朝日系)や情報番組「ラヴィット!」(TBS系)など多数のレギュラー番組を持つ。YouTubeチャンネルでは企画動画と共に「ニューヨークのニューラジオ」を配信中。

※掲載内容とプロフィール情報はFuture 2023[進学・オシゴト版] 2023.3.7時点のものです。