富山にこんなお仕事
臨床心理士(桐澤 さやかさん)
心の「羅針盤」になる
臨床心理士はしばしば「羅針盤」に例えられる。
羅針盤は航海中の船に方位を教えて進むべき道を示すもの。
臨床心理士も相談者とのコミュニケーションを通じ、目指すべき心の方向性を見つけていく。
「心の傷が癒えたのを見届けられた時、やってて良かったなって感じるんです。
少し寂しいけど、私の存在を忘れるくらい立ち直ってもらうのが理想ですね」
一口に臨床心理士といっても、医療、教育、福祉、司法、産業と職域は広い。
ただ、共通して求められるのは相手に興味を持ち、話を聞くこと。
なぜ悩んでいるのか、どんなことを伝えたいのかを聞き、問題解決に向けてアドバイスしていく。
臨床心理士を知ったのは高校生の時。
漠然と医療関係の仕事を考えていた中、家庭教師から教えてもらった。
その時はまだスクールカウンセラーが一般的ではなかった時代。
ただ、いじめや不登校が問題になることは多く、心のケアをする人は今後必要になると感じた。
大学は専門の教育課程がある学校へ進学。
入学時はまだ本格的に臨床心理士を目指していたわけではなかったが、
授業を通じて心理学にのめり込み、卒業後は病院の心療内科に入職。
働きながら帰宅後や業務の空き時間を見つけて勉強し、一発で臨床心理士の資格を取得した。
現在週3日で勤務する富山県立大では、学生相談室員としてカウンセリングを行っている。
コロナ禍でサークルがなくなったり、授業がリモートになったりと人との接点が減り、
孤独感を抱える人が増えているという。「頼れる人も相談できる人もいない学生がいる。
その人がどうしたら再び自分の足で歩いていけるかを考え、
時には厳しく、時には相手を鼓舞しながら対話を重ねていきたい」と力を込める。
私の愛用品
■スケジュール帳
複数の学校を掛け持ちしているので、相談日程を間違えないように日記帳に記している。
ファイル状になっていて、ルーズリーフに「ToDoリスト」をメモしてはつづっている。メモがかさんで12月には数倍の分厚さになる。
※掲載内容はFuture 2023[進学・オシゴト版]
(2023.3.3時点のものです。)