富山にこんなお仕事
建築家(堀木 俊さん)
建築は「長距離走」
クライアントの要望やコストをくみ取り、設計図を描く。
現場にも立ち会い、図面通りに進んでいるかを監理する。建築家の仕事は多岐にわたる。
施主から難題を要求され”生みの苦しみ“に悩むことも多い。
発想力やコミュニケーション能力も求められるが、その分、完成した時の喜びは大きい。
「長距離走と同じ。我慢し続ければ最後にすごくうれしい瞬間が待っている」。
隈研吾建築都市設計事務所の北陸担当として9年前から頻繁に県内を訪れていた。
だが、新型コロナの影響で出張が難しくなり、富山に事務所の拠点を新設した。
山岳地帯の景観に溶け込むスイスの建築が好きで、立山連峰がそびえる富山には共通点を感じることも多く、
「(将来的に)中山間地域で自然と共存するような建物を作りたい」と語る。
幼稚園のころ、企業社屋などを手掛けていた祖父に憧れ、文集では周りが「仮面ライダー」「○○戦隊△△レンジャー」
などと将来の夢をつづる中、「建築家」と記した。大学院在学中にはスイスへ留学。
昼食代を削ってでも欧州のさまざまな建築へ足を運んで学び、アルバイトで通っていた事務所への入社をつかんだ。
見たら満足する「映える建築」ではなく、訪れた人の五感に訴えかける「心に残る建築」を理想とする。
手掛けた建築がそこで働く人や地域住民の誇りとなったり、愛情を感じてもらえたりすることが地方での仕事のやりがいと口にし、
「そこにいる人間と材料に向き合い、そこでしかできない建物を作っていきたい」と力を込める。
私の愛用品
■指輪
建築家だった祖父の形見の品で、約20年にわたって着け続けている。
目を向けると「手に祖父がいるような感覚」で、つらい時に見て元気をもらっているという。物をなくしやすい性格だが、これだけは絶対になくさない。
※掲載内容はFuture 2023[進学・オシゴト版]
(2023.3.3時点のものです。)