決断があなたを成長させてくれる

Q.自分で決めたり、選んだりすることは大切なことですか?

大切なことほど「自分で決める。自分で選ぶ」ことは大事なことです。
人生の岐路に立つような決断や選択の際には、必ず悩むと思います。
悩むのは苦しいことです。でも、それは必要なことなんです。
私の尊敬する心理学者の言葉に「葛藤のない成長は考えられない」
というものがあるんです。悩んだり、葛藤したりする時間は無駄だと思うでしょう?
親に全部決めてもらいたいと思うかもしれません。でも全然無駄じゃありません。
その時間がない方が不幸です。なぜなら将来、自分で決断できなくなるからです。
悩まないと、成長しないんです。
例えば、友達と喧嘩をしたとします。その時に「どうやって仲直りしようか。
それとも新しい友達をつくろうか。あるいは向こうの反応を待ち続けようか」と
思考を巡らせるのは、今だけでなく将来の人付き合いの仕方にもかかわってきます。
あなたを一生左右します。
そこで決断できないと、一生決断できない人になるかもしれません。
私は看護師の専門学校でも講師をしていますが、
親や先生に勧められて進学した学生の方が中退しやすい傾向にあると思います。
自分の意志で入学していないから、壁にぶつかると乗り越えられないのでしょう。

Q.自分の決断が正しいとは限りませんよね?

「後悔しないように生きろ」と熱く語る人がいますが、
後悔しない人生なんてありません。どんな人生でも絶対に後悔します。
何かを選んだら、別の可能性を捨てることになりますから。
でも、自分で決めて自分で失敗したら、それはあなたの財産です。
大切な思い出として心の中に取っておけます。
きちんと結果を受け入れて諦めることもできます。
でも、他人に決められて失敗したと思ったら、後悔を受け入れることはできません。
親や先生のせいにしてしまいます。
長い人生の間で、あなたが望む道や環境が100%用意され続けるわけがありません。
サポートしてくれる親や先生はいつまでもいません。
その時に自分でどう決断できるかは、若い頃に葛藤した経験次第です。

Q.決断するこつは?

大事なことを決めるこつは、余裕のある時に重要な決断をすることです。
切羽詰まっている時に決断すると視野が狭くなってしまいます。
深呼吸したり、お風呂に入ってリラックスしたり、ゴロゴロしたりして考えることです。
そうすると二者択一に見えた問題にも、いろんな選択肢が見えてくるかもしれません。

深澤 大地

臨床心理士

ふかざわ・だいち/長野県生まれ。
関東の公的機関で教育相談員やスクールカウンセラーとして勤務。2009年に富山県総合教育センター客員研究主事として招聘。17年に子ども専門の心理相談室「富山県こどもこころの相談室」を開設し、主に未就学児から30代までのカウンセリングを行っている。また、講演会、新聞の連載エッセイの執筆、雑誌への記事の掲載、メディアへの出演など、臨床心理士として県内外で活躍中。