富山にこんなお仕事
イラストレーター(藤井 奏さん)
描いている時間が一番楽しい
キリンが自転車に乗り、アヒルが釣りに出掛ける。
動物たちが思い思いにアウトドアを堪能するという今回の「Future進学・オシゴト版」のにぎやかな表紙イラストを担当した。
「Futureのイラストはこれで4度目ですが、毎回求められるテーマが難しくなっているのは気のせいでしょうか」と笑う。
絵を描くのが好きで美大に進んだ。しかし、人気の美大は狭き門。
2年の浪人を経て、多摩美術大グラフィックデザイン学科に進んだ。
バイト先のスタッフの影響で、大学院終了後はロンドンに移り住んだ。語学を勉強したかったし、海外で活躍したかった。
大学の同級生たちは既に就職していたが、ロンドンの自由な空気に触れ「なんとかなるだろう」という自信はあった。
現地の美術館でデビッド・ホックニーという1937年生まれのポップ・アーティストの作品と出会った。
明るさに哀愁を溶け込ませた独特の色彩、iPadなど新しいテクノロジーを取り込む柔軟な姿勢に刺激を受けた。
「描きたい」という気持ちが一層強まった。描き溜めた作品を基にロンドンで個展を開催。
パッケージデザインなどの仕事も舞い込むようになった。
帰国後、故郷の富山でも個展を開くと、イラスト制作の依頼が相次いだ。
イラストレーターに求められるのは、画力に加えてコミュニケーションだという。
「リンゴを描いてほしいとい頼まれても、どんなリンゴを求められているのか把握しないといけない。
クライアントの意向を汲み取った上で自分のフィルターを通した表現が必要になる」と語る。
イラストに付随したデザインの仕事も受け、多忙な日々だが、「1日の中で描いている時間が一番楽しい」と話す。
私の愛用品
■画集や図録
仕事の合間に開き、インスピレーションを得る。
もちろんホックニーの画集がお気に入り。
※掲載内容はFuture 2022[進学・オシゴト版]
(2022.2.25時点のものです。)