富山にこんなお仕事
学芸員(金山 謡さん)
思い出の場所が職場
美術との出会いは、今の職場だった。
勤務する県水墨美術館は、高校時代の思い出の場所でもある。
高校の壁に県水墨美術館のポスターが貼ってあった。雪舟展のポスターだった。
雪舟の名前は小さな頃から知っているけれど、実際にその作品を見たことはない。
学校から美術館には歩いて行けないこともない。
何となく行ってみると、学芸員が企画展を解説するギャラリートークが行われていた。
雪舟の山水画の何が革新的だったのかを説明する語り口に聞き入った。
「え、分かりやすい。美術って面白いんだ」と思った。
そこから美術館に足繁く通うようになった。図書館でも美術に関連する本を読むようになった。
いろいろな美術があると再認識した。気付けば、自分も学芸員になりたいと思った。
「それまで突き詰めたいものはなかったけれど、美術ならできそう」という気がした。
高校の勉強は正直、興味を持てなかったけれど、大学は楽しかった。
何も強制されないで好きなことを勉強できるのは幸せなことだった。
日本の美術を研究した。大学院への進学を目指していたところ、
美術に出会った県水墨美術館で学芸員を募集していることを知った。
縁を感じて、挑戦することにした。合格の知らせを受けると「まさか、こんなことがあるんだな」と驚いた。
学芸員の仕事は忙しい。展示の準備もすれば、マスコミ向けの広報もしないといけない。
SNSでの発信も行う。手堅い内容の投稿ではなく、絵文字を使って美術展の魅力やイベントの内容を分かりやすく伝える。
「若い人に、かつての私のような高校生に刺さってほしい。美術館を身近に感じてもらいたい」と意気込む。
私の愛用品
■チケットファイル
見に行った美術展のチケットを大切に保管している。高校時代の分から取ってある。日付を確認すると、1週間も経たずに同じ美術展に行っていることが分かる。学生時代のバイト代はほとんど美術展に費やしたという。
※掲載内容はFuture 2022[進学・オシゴト版]
(2022.2.25時点のものです。)